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完成した「貢川の家」の工事を、当時の写真と資料から振り返ります。前回は敷地の景色や周囲との関係を読み解くところから、住まいの計画をご紹介しました。今回は、地面の下を調べ、その結果を基礎の設計につなげていく過程です。

地面の下にも、敷地ごとの条件がある

窓からの景色や部屋のつながりを考える一方で、建物を支える地盤にも目を向けます。表面が平らに見えても、その下にどんな土があり、建物の重さをどのように受け止めるかは、見た目だけでは分かりません。

貢川の家では、2025年10月22日に地盤調査を行いました。調査報告書には、地盤の硬さを調べるSWS試験と、土の性質を判断する情報を得るSDS試験が記録されています。

小型の調査機械を使い、敷地の地盤を調べている様子。

 

地盤調査に使われた機械と、その脇に並ぶロッド。

 

調査を、20年の地盤品質保証につなげる

今回採用したのは、ジャパンホームシールド(JHS)の20年地盤品質保証に対応する、SDS試験とSWS試験を組み合わせた調査です。地盤の硬さに加えて土の性質も捉え、調査結果を基礎の設計や必要な地盤対策へつなげます。

JHSの地盤品質保証は、調査・解析に基づく提案に沿って基礎工事や地盤改良工事が行われたことを確認したうえで、地盤の不均等な沈下である「不同沈下」に備える仕組みです。20年保証では、工事期間に加え、お引き渡しから20年間の地盤品質を保証します。

調査をして終わりではなく、その結果に沿って設計・施工し、完成後の保証につなげる。貢川の家では、そうした流れも踏まえて地盤調査を行いました。

※保証の対象・期間・免責事項は、地盤品質保証書および規程によります。

調査の結果、地盤改良は必要ありませんでした

報告書では、地表から約75cmまでを盛土・埋土、その下を粘性土と判断しています。各測点の調査結果から安定した地盤と考察され、地盤の支持力だけでなく、盛土・埋土の収縮や、地盤の沈下・傾斜についても検討したうえで、直接基礎による対応が可能とされています。

貢川の家では、この調査結果を踏まえ、地盤改良を行わず、べた基礎で建物を支える計画としました。べた基礎は、建物の下に鉄筋コンクリートの底盤を広げ、建物の重さを地盤へ伝える基礎です。

地盤改良が必要かどうかは、敷地と、そこに建てる建物の条件によって変わります。この家で改良が不要だったのは、調査結果と計画する基礎を照らし合わせて判断できたからです。

地盤調査報告書3ページ「基礎と地盤補強の提案書」。
地盤の考察に「直接基礎による対応が可能」、提案に「ベタ基礎」とあります。
物件番号・個人名等は非表示。

 

「改良が不要」の先に、基礎の構造計算がある

地盤改良が不要と分かっても、それだけで基礎の設計が決まるわけではありません。次に、この地盤に、計画した建物をどう支えさせるかを具体的に確かめます。

調査報告書が示す基礎の設計地耐力は30kN/㎡。これは、基礎を設計するときに用いる、地盤が支える力の条件です。貢川の家の基礎構造計算でも、この30kN/㎡を採用しています。

基礎計算書では、屋根や外壁、床、基礎自体などの重さを見込み、それを地盤へ伝えたときの圧力を計算しています。地盤にかかる圧力が、設計に用いた支持力の範囲に収まることを確認したうえで、底盤や基礎梁の検討へ進みます。

底盤を支える区画の大きさが変われば、曲がろうとする力も変わります。そこで区画ごとに寸法を入れ、底盤の厚さや鉄筋の太さ・間隔を検討しています。今回の計算書では、厚さ150mmの底盤について検討し、S1の区画にD13の鉄筋を200mm間隔で配置する仕様を確認できます。D13は鉄筋の太さの呼び名です。

基礎計算書の底盤の検討部分。区画の寸法を入れ、曲げる力と、それに必要な鉄筋量を計算しています。
(2025年11月11日付資料の抜粋)

 

計算した内容を、施工に使う図面へ

計算の結果を現場へ伝えるのが、基礎伏図と基礎断面図です。基礎伏図は、基礎を上から見て、梁や底盤をどこに配置するかを示した図面。断面図には、その部分の高さや幅、鉄筋の納め方を表します。

貢川の家の図面では、S1の底盤に「厚さ150mm・D13を200mm間隔」と指定しています。基礎梁にもFG1、FG2、FG3などの符号を付け、場所に応じた断面や配筋を示しています。計算書では、建物の重さだけでなく、地震などの水平力で耐力壁の端の柱が浮き上がろうとする力に対して、基礎梁を検討した箇所もあります。

貢川の家の基礎伏図。S1は底盤の種類、FGの符号は基礎梁の種類を示します。配置と配筋を図面で対応させています。(2025年11月11日付資料の抜粋)

 

地盤を調べる。その結果を条件にして構造計算を行い、基礎の寸法や配筋を図面へ落とし込む。完成すると見えなくなる足元にも、こうした設計の積み重ねがあります。

地盤改良をするかどうかだけで終わらせず、その敷地で、この住まいをどう支えるかまで考える。毎日の暮らしの土台となる部分だからこそ、調査・計算・図面をつないで準備を進めました。

株式会社Vent計画設計室

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