2013年 シックハウス対策の家
所在地 | 山梨県甲斐市 |
規模 | 地上2階 |
敷地面積 | 486.95 ㎡ |
延床面積 | 96.62 ㎡ |
施工 | 権守建設 |
2013.5
弊社は重度の化学物質過敏症のお客様にも安心して生活できる住まいを提供できる設計事務所であることをモットーとしてきた。
本例は、これまでの住宅で生活することが出来なくなった症状を持つお客様と作り上げたもの。
お施主様(A様)の想い
① 言葉だけではない、本当に安心して過ごせる安全な住まい(家の中に引き籠りたい)
・ 化学的な素材は一切受け入れられない
・ 単純に化学的なものの持ち込みだけでなく、建築に関わる業者の方の建物に残る香料の類(整髪料、シャンプー・トリートメントの類、洗剤・柔軟剤)も厳禁
・長時間建物内で作業する職人の衣服は天然素材でとして欲しい
・もちろんタバコは厳禁
・搬入材料に芳香剤、たばこの成分が付着するのもNG
② 電磁波に対しての配慮も必要で、コンセントのそばでは眠ることができない
③ 外部からの影響を極力受けないPLANとして欲しい
④ 独立した子ども達の部屋を個室で欲しい
Vent(ヴァン)が提案した内容
① 施工体制
シックハウス基準確認書を作成し、A様と使用できる建築部材だけでなく、使用できるシャンプー・洗剤・柔軟剤・芳香剤・制汗スプレー等の銘柄確認。
立ち入り業者の指定等についての方法を提案→協力可能な施工業者を選定。
② PLAN提案
A様の基本的な生活空間は、外部の影響を受けにくい2階に子ども達の個室を、1階に単純明快な部屋割りとして、電気・機械設備の配線配管等も簡潔に計画できる設計PLANを提案。
③ 使用可能な建材の提案
④ 合板等の化学物質の中性化の提案
⑤ 設備関係の影響を最小限とするための提案
Vent(ヴァン)での打合せも隣室からの芳香剤や柔軟剤の影響を受け、短時間で打ち切らなければならないことが多い中ではあったが、詳細を効率よく検討した。
新しい住まいでは、「引き籠りの家」を目指した。
心地よい暮らしへのPOINT
施工者・設計者はシャンプー、洗剤の支給を施主より受け、その他の基準や制限を守り、短期間の施工者も配送業者も、それぞれに基準を作りその基準に則って現場対応にあたった。
基本的にほぼ全ての材料について、A様に確認をお願いした。
必要となる接着材・シールを施工する箇所は内部では浴室のみとし、施工後はベークアウトを行い、使用可能とした。電気配線は全て天井から。基本的に2m以上で納め、コンセントもH1800とした。
分電盤は鉄板で区画した。
特殊な現場であったが、すでに8年が過ぎたこの住まいを、お施主様は「ここにいれば安心」と言っている。当初の「引き籠もりの家」は達成で来たようだ。
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