2013年 河西の家
所在地 | 山梨県甲府市 |
規模 | 地上2階 |
敷地面積 | 687.02 ㎡ |
延床面積 | 192.67 ㎡ |
施工 | 有限会社匠建築工房 |
【平成27年度 山梨県建築文化賞奨励賞】
2013.9
建て替えか?再生か?
施主であるI様は、お母様と2人暮らし。昭和の初めにお父様が建てた思い出深い住まいを、残された家族で大切に守ってきた。特にお母様の住まいに対する思いは強く、建て替えることができなかった。
しかし、建物の老朽化が進むと共に、増築に増築を重ねた段差ばかりの古い建物の中で躓くことが多くなり、危ない思いをすることが頻繁になった。特に台所回りは、土間のままで、夏の暑さ、冬の寒さは年々厳しくなり、建て替えを検討することになった。
お父様の建てた家を残して、再生するという選択も検討したが、現状の暮らしに合わせることは難しかった。
そこで、古い建物の材料を、新しい住まいに活かすことで旧宅への愛着が深いお母様も納得し、建て替えに踏み切った。
お施主様(I様)の想い
① 玄関を大事にしたい
・ 母はまだまだ農業現役。畑仕事で忙しい母は近所の方と土足のまま話し込むことが多いので、ゆったりとした空間を玄関に用意してほしい
② 玄関先にトイレと手洗いが欲しい
③ 老犬が1匹、ゆっくり休めるスペースが欲しい
④ 父親の残した写真を飾れる場所を作って欲しい
⑤ 住まいはゆったりとした空間にして、和室と収納は広めにしたい
⑥ 1階に生活スペースをまとめ、生活に最適のPLANを
Vent(ヴァン)が提案した内容
① 外観は2階の桁高を抑え、2階から1階への屋根をつなげ、一見平屋のように見える落ち着いたものとした
② 新しい住宅に使用する旧宅の古材は和室回りにまとめる
③ 玄関にお父様の写真を飾るスペースを確保
④ 広い土間とリビングをつなげたPLANを提案
⑤ 2階建てながら、生活空間をすべて1階に計画した
⑥ 水回りは、農作業場から直接出入りできるよう勝手口を計画
⑦ 洗濯・収納計画は単純明快に、家事動線を短く最適なものとした
⑧ 2人の寝室は南に配し、トイレ、洗面を近く計画して安心して過ごせることを優先した
心地よい暮らしへのPOINT
新築前の生活空間から読み取る暮らし方。
基本設計時からの綿密な打合せ。
① お母様のお父様への思い
・ お父様との思い出の詰まった住まいへの思いを大切に設計
② 古い材料と新しい材料が、実に心地よく融合した住まいとなった
③ 工事中、毎日お父様の写真に話しかけ、地鎮祭・上棟式共に父の写真と同席していたお母様も気に入ってくださっている
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